「ASAP ZEUS」からスタートし、山本KIDやLil Uzi Vertを描いたことでバスった「ラップリマン」。謎多き人気アーティスト・O.Z.Y.K.I.Xの飽くなき探求心
Text: Atsuko Tanaka / Images: ©︎O.Z.Y.K.I.X
ヒップホップヘッズに大人気の、国内外の有名なラッパーたちをモチーフに描かれた「ラップリマン」。手がけるのは、O.Z.Y.K.I.X。その正体は謎に包まれていることが多いが、今回彼へのインタビューが実現!ヒップホップとの出会いや、ラップリマンが生まれたきっかけ、これまでの活動をして印象に残っている出来事などを聞いた。
―絵はいつ頃から描いていたんですか?
昔から絵を描くことや物を作るのが好きで、図工や美術の成績は良かったです。iPhoneで描き出したのは5年前くらいからで、全て独学です。
―絵において影響を受けたアーティストはいますか?
メジャーなアーティストだとSnoop Doggのジャケなども手がけているJoe Coolが大好きです。SnoopといえばJoe Cool!ってくらいアイコニックなアートワークに惹かれますね。日本だと井上三太さんです。「TOKYO TRIBE」「BORN 2 DIE」「隣人13号」は大好きな漫画です。自分がラッパーだったら、100% 井上三太さんに依頼します!
―ヒップホップ との出会いは?
高校生の時にZeebraさんを筆頭に、ジャパニーズヒップホップ が テレビとかで流れるようになって、その辺りからラップを聴き出したと思います。そこからDS455やオジロを知って、同時期に洋楽も聴き出してSnoop、2Pac、Dreなどのウェッサイにドップリハマりました。一番衝撃的だった曲は、先輩のインパラの中で流れたPHOBIA OF THUGの「CLICK DA TRIGGER」。日本でこんなゴリゴリのウェッサイをやってる人達が、しかも名古屋にいるんだ!と衝撃を受けたのを今でも覚えています。
―ウェッサイ系の音に深く影響を受けたんですね。
そこからさらに日本語ラップ、特にW.C.C.関連に超ハマって。昔はマイナーなギャングスタラップに詳しいヤツほどイケてるみたいなのがあって、知識を得るために「GANGSTA LUV」という雑誌をボロボロに破れるくらい見て、毎週名古屋のレコ屋にディグりに行ってました。当時はDJとビートメイカーもやって、ローライダーのカークラブを作ってイベントも主催してと、かなりクリエイティブな活動をしてました。
―では、ラップリマンが生まれたきっかけを教えてください。
数年前にビックリマン×フラグメントが出た時に、フラグゼウスが話題になっていたので、ノリで「ASAP ZEUS」というキャラを作ったのが始まりです。その時の反応が意外に良くて、サタンマリアの体にLil Uzi Vertの顔をはめ込んだり、海外USラッパーシリーズを作り出したらプチバズって。これまで未公開も含めて300くらいのキャラを作りました。
―Parallel worldシリーズは、本当にいそうなキャラで背景などもすごい面白いですよね。
架空のラッパーでやったら面白いなとずっと思っていて。キャラ設定も現実世界にいそうなキャラと面白さを意識して作っています。これからシリーズ化してもっと色んなキャラを作って、何かの付録として出したいですね。
―ご自身の作品が注目されていると感じたのはいつ頃でしたか?
正直今でも注目されてるって実感はあまりなくて。これといって日々の過ごし方も特に変わってないですし、アーティストぶるつもりも一切ないです。ただ、周りから凄いねって言われることは増えましたね。
―これまでの活動を通して嬉しかったこと、驚いたこと、印象に残る出来事は?
インスタ のフォロワーがまだ1000人くらいでラップリマンを作り始めた時に、山本KIDさんとインスタで繋がったことですかね。世代的にラップリマンがハマって気に入ってくれたんだと思います。山本KIDって言ったら僕ら世代は憧れの存在だったので、もうめちゃくちゃ嬉しくて。僕は嬉しすぎてその日にKIDさんのラップリマンを作って、すぐにDMしたんです。そうしたらKIDさんがインスタにアップしてくれて、そこからめちゃくちゃバズって。フォロワーが1000人行くのに1年くらいかかっていたのが一夜にして1000人くらい増えて、1週間もしないうちにさらに1000人くらい増えて。嬉しいというか、逆に怖くなったというか(笑)。本当に夢みたいでした。
あとは2 Chainzに(ブートレッグ)Tシャツのギフティングが成功した時も、本当に衝撃的でした。全ては沖縄を拠点に世界で活躍するデザイナーmckee君のおかげです。彼は超有名USラッパー達に衣装提供をしている凄腕デザイナーで、彼の協力のもと2 Chainz以外にもWiz Khalifa、Juelz Santanaにもギフティングさせてもらいました。
―ブートレッグTシャツは実際にプリントされているんですか?だとしたらかなりの数になるかと思いますが、どのくらいあるのでしょうか?
デザインした全てというわけじゃありませんが、かなりの数があります。いつかRAP TEEメインの個展をやるつもりなのでその時のために。
―最近は、毎日どんなライフスタイルで過ごしてますか?
至って普通です。毎日毎日仕事三昧ですね。朝5時くらいに起きて17時までは現場で働いて、行き帰りの移動時間や仕事の合間の休憩時間にデザインするみたいな。朝が早く夜は帰りが遅いくらいで、あとは普通のサラリーマンと変わらないです。まさにZORNの「MY LIFE」まんまですね。ずっとそのスタイルでやっています。
―今ハマってることは何かありますか?
最近というかずっとハマってるのが、ヒップホップ 関連のフィギュアやビンテージのアイテムを集めることです。あとは、自分でフィギュアやインテリアを作ることかな。海外ではそういったアーティストが沢山いて、いろんなブートレッグアイテムがあります。ブートレッグだからこそ面白いし、魅力があると思うんです。日本にはそういった活動をしてる人はあまりいないですけど、何でもそうですが僕は人がやっていないことをやりたくて。こんなのがあったら絶対に面白いし、欲しいって思うようなアイテムを毎日頭の中で創造して、イメージが固まったら具現化するみたいな。作っている時は凄く楽しいですね。
―最近好きでよく聴いているアーティストは?
結構幅広く色々な曲を聴いてます。今のヒップホップ シーンを牽引する若手からベテランのラッパーをはじめ、90’s ヒップホップ だったり、コリアンラップ、ソウルファンク、ミクスチャーだったり。その時の気分で聴きたい曲を聴いてます。
ーもうすぐ原宿ラフォーレのBE AT TOKYOで 開催される「ART OF HIP HOP」で作品展がありますが、どんな展示になるのでしょうか?
歴代のラップリマンから、サンプルしか作ってない激レアラップリマン、ブートレグRAPTEEなどを展示しようかなと思ってます。
―来る人たちに、どんなことを期待していて欲しいですか?
ラップリマンやRAPTEEを生で観られる数少ない機会ですので、是非生で観て欲しいですね。来場者の皆様に、POP UP限定ラップリマンを一枚無料で差し上げますので是非足を運んでください。
―最後に、まだ実現していないことで挑戦したいことを教えてください。
めちゃくちゃあります。まずは当初からずっと公言しているラップリマンをオフィシャルで出したいです。あとは日本人ラッパーのフィギュアも出したいし、RAPMADEの実店舗も出したいです。インテリアデザイナーの仕事にも興味があって、家全ての空間をプロデュースしてみたいなとも思っています。やりたいことだらけで困ってます(笑)。