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ヒップホップは共鳴する友情。タイの若手ラッパーが探る人生の道

Text & Photo: Atsuko Tanaka


大手音楽会社「Believe」の日本法人Believe Japanが開催した「PLAYCODE」発足イベントに、海外のゲストアクトとして来日したタイの人気若手ラッパー、Saran。19歳にして貫禄のあるパフォーマンスを見せ、観客を楽しませてくれた。そんなSaranをインタビューし、ラッパーとして転機となった出来事や、自身の音楽スタイルについてなどを聞いた。


―今回日本は初めてですか?日本人や日本の文化に対する印象を教えてください。

うん、韓国に行ったことはあるけど日本は初めて。ずっと来たかったけど、今回こうして来れて嬉しいよ。東京の街は綺麗で、みんなすごくおしゃれな印象だね。

 

―出身はタイのどちらですか?日本の文化には小さい頃から馴染みがありましたか?

ノンタブリーっていう郊外で育って、今はランシットというバンコクから1時間くらいの所に住んでる。子供の頃から日本のアニメや漫画を見て育ったよ。

 

―タイのヒップホップシーンはすごく盛り上がっている感じがありますね。

そうだね、ここ4、5年で大きく成長した。これまでヒップホップはあまり良くないイメージを持たれていた印象があるけど、メインストリームになって嬉しく思う。

 

―Saranさんのヒップホップとの出会いを教えてください。

チョンブリーにあるボーディングスクールに通ってた頃、友達にローカルのヒップホップを教えてもらって、聴いてるうちにハマっていったんだ。当時僕は11歳でまだ携帯を持ってなかったし、暇な時間にラップしてみるかって感じで曲を作るようになった。

 

―周りの反応はどうでしたか?

友達にはイジられたよ(笑)。当時はまだあまり馴染みのない音楽だったからね。

 

―その後はどうやって活動を進めていったんですか?

「Audio Battle (オーディオバトル)」っていうオンラインでラップのバトルをする番組があって、そのオーディション用に曲を作ってYouTubeにアップした。それから「THE RAPPER」っていうヒップホップのオーディション番組のオーディションも受けたら合格した。ちょうどその頃学校を退学になったのもあって、本気で音楽でやっていこうって思って。その後、THE RAPPERの2回目に出た時に準決勝まで行って、3回目で優勝することができた。

―実力で優勝を手に入れたんですね。Saranさんがラップを始めてから9年ほど経ったかと思いますが、シーンの変化をどのように捉えていますか?

僕がラップを始めた頃、タイではまだニッチなジャンルで、そんなに人気なラッパーもいなかった。でも今はメインストリームになって、いろんなアーティストがいて、ラッパーとして稼げる人が出てきてる。それは大きな変化だね。

 

―海外や日本のヒップホップは聞きますか?

アメリカとかヨーロッパのを聞くことが多い。日本のラッパーは聞いたことがなかったけど、今回このイベントに出ていたRed Eyeの曲を聞いてみたらすごく良かったよ。

 

―チャンスがあれば日本人のラッパーとコラボしてみたいと思う?

うん、タイの先輩ラッパーとのコラボは果たしたから、今後は日本人のラッパーともやってみたいね。

―では、Saranさんの音楽のスタイルを一言で言うと?

真実。自分のこともそうだし、友達が経験したことでも、感動したり何か感じることがあれば、それをそのまま曲に乗せて伝えるようにしてる。

 

―最近よく使う言葉は?

自分の名前をめちゃ早く言うこと。早いから「サラン」が「スルン」って聞こえるかも。かけ声とか曲のイントロとかにも使ってる。

 

―何か今取り掛かっているプロジェクトはありますか?

最近YouTubeにライブセッションを挙げたばかりで、今はアルバムを作ってるよ。年末頃にリリースする予定。

―それは楽しみです!では将来成し遂げたい夢や目標を教えてください。

ニューアルバムで取り組んでることでもあるけど、曲だけでなく、MVやプロダクションの面とか全てにおいてレベルアップしていきたい。

 

―最後に、Saranさんにとってヒップホップとは?

俺にとってヒップホップは人生であり友達。これまで何もなかった状況から、家とか車とか、欲しいと思ってたものを手に入れられて、俺の人生を作ってくれた。それと、自分の中で迷いや不安があっても、曲を通して自分の気持ちを表すことができるから、なんでも言い合える友達みたいな存在とも言えるね。

(Left to right) ZENTYARB, SARAN & BLACKHEART



「PLAYCODE(プレイコード)」は、日本のヒップホップシーンの成長、アーティストの発掘・育成、マーケティングサポートをするために誕生した、新しいインプリント(ブランド)です。従来の音楽事務所や音楽レーベルとは異なり、アーティストの独立性を保つことを目指しており、アーティストの音楽性や音楽活動を尊重しながらマーケティング活動をサポートします。主なサービスとして、ヒップホップアーティスト向けの専門知識を活用したマーケティング戦略の立案と実行、自社開発テクノロジーを活用したデータ分析とオーディエンス開発、また資金支援や音楽配信を提供します。さらに、150以上のデジタル音楽プラットフォームとの強力なパートナーシップにより、ヒップホップアーティストの楽曲がより多くの人々に届くためのサポートも行います。
「PLAYCODE」の名前の由来は、「Playful(遊び心・プレイフル)」と「Code(暗号・コード)」という2つの言葉から着想を得ました。「プレイフル」とは、多くの人々に受け入れられやすく、親しみやすいことを意味し、一方で「コード」とは、人生を生きる上での多くの障害物を乗り越え、自らが解き明かすべき暗号のようなものを象徴し、ヒップホップというジャンルを通して、音楽市場をより高いレベルに発展させることを目指しています。 
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