Text & Photo: Atsuko Tanaka

Ninja We Made It in Hachioji

―今日のオシャレのポイントを教えてください。

Slow:ジョーダン1を履くことが結構多いんすけど、今日はティンバーにしたんで、オレンジのノースフェイスとKAPITALのバケットで色味を合わせて、デニムはLevi's KAWSにしました。

Zakeru:ジョーダン1に、パンツはリーバイスで、ジャケットはARC'TERYXです。ジョーダンシリーズの、特に1、3、4とかが好きでよく履くんですけど、基本は靴とキャップの色を合わせて、全体的な色味のまとまりを意識してコーディネートを組みます。

Slim:最近のお気に入りのINNOCENCEのショーツをメインに組みました。あと、青が好きなんで、ジョーダン1とKAPITALのスウェットで色を揃えた感じです。

―服はいつもその日の気分で決める感じですか?

Zakeru:そうすね。結構被っちゃうことが多いから、ライブとか撮影がある時は、事前に何を着ていくか皆で話し合います。

 

―最近好きなブランドやファッションスタイルは?

Slow:ブランドで言うと、欲しいのはBALENCIAGA。スタイルは、自分が好きっていうか、下がデカめのパンツに上は細身のスタイルをよく見るんで、そういうのはいいなと思います。

Zakeru:ストリートファッションが好きなんで、 Supreme とかNIKE、あとは海外のアーティストが着てるハイプなもの。ARCは今までストリートのイメージはなかったと思いますけど、カニエが着てから変わったし、そういうファッションアイコンが流行らせるものは敏感に追いたいすね。

Slim:自分は細身なんで最近フレアパンツとかを見るようにしてて、好きなブランドでいずれ欲しいなと思うのはMarniのアーカイブアイテムとかですかね。

 

―日本のブランドはどうですか?

Zakeru:KAPITALとか、日本のも原宿系のブランドを結構着るっすね。日本のファッションって世界でも結構上を行ってるというか、Verdyさんとか村上隆さんとかがいて、海外からも注目されてますよね。

―では今日撮影した八王子についてお聞きしたいです。皆さんにとってどんな場所で、どんな思い出がありますか?

Zakeru:まず、八王子の駅近くにあるカフェはよくミーティングしたり、動画の編集をしたりする場所です。あとは地元のやつしか知らないような昔パチンコ屋があった所と公園は、ダンスビデオを何回も撮ったりしてます。自分とSlimは八王子が地元なんで、そういう意味で色々思い出はあるすね。SlowとYungは青森出身なんすけど、今は八王子に住んでて。

Slow:なんでそこまで思い入れはない(笑)。田舎っぽい感じは地元と似てますね。


ー洋服は普段どこで買うことが多いですか?

Zakeru:全員一緒でネットが多いです。結局メルカリが一番いいんじゃないかっていう。自分たちはある程度の期間は同じ衣装で統一してやってて、今も次のEPを出すまでは同じのでやろうって考えてます。

 

―ファッションスタイルを参考にしている人やサイト、アプリなどはありますか?

Slow:A$AP Bari、Bloody Osiris、CEO Slowとか。

Zakeru:もちろんラッパーのファッションもめっちゃチェックしますけど、そうじゃないファッションアイコンの人たちもトレンドが早いからよく見ますね。あとは自分たちの先輩でMVのスタイリングをしてくれる人がいるんで、その人からいろいろ教えてもらったりしてます。

―世界で一番オシャレな人が多いと思う街は?

Zakeru:アメリカしか行ったことないからわからないけど、やっぱりLAとかNYとかはヤバそうですね。3年前くらいに俺とSlimでアトランタに行ったんすけど、ファッションというよりかは着てるやつがかっこいいって感じで。ドレッドでタンクトップにジーンズ腰で履いてみたいな。

Slim:その時はほぼ全員スキニーだったな。そいつらが着てるとなんでもカッコよく見えた。

Slow:それで言うと、やっぱり渋谷とかなんじゃない?想像の中の世界がちょっと狭いかもしれないけど。

Zakeru:東京はやっぱり世界からも注目されてるのは思うんすよね。海外にヒップホップのジャーナリストの知り合いがいるんですけど、その方もそう言ってたし。やっぱりおしゃれなのかな、渋谷、原宿とか。


―それぞれファッション・ビューティーで欠かせないアイテムはありますか?

Slow:ドレッドすかね。これもファッションの一部というか、こいつに結構助けられてるところはあって、自分の強みなのかなと。ビューティーに関しては、髭や髪のラインとかを整えること。やってもらうこともあるし、自分でもやる。

Zakeru:ファッションは白T。夏はほぼ90%ぐらい白Tですね。無意識のうちに選んでると思うけど、明るくなるし、テンション上がるんで。ビューティーは、結構だらしない方なんですけど、美容院に行くことかもしれないっす。10日に一回とか原宿のブラザーズに行って、急な時は近くのお店に行く。

Slim:ファッションは小物ですかね。クロムハーツが好きなんで財布とかネックレスとか統一してて。いずれはごついブレスレットだったりチェーンとかベルトとかが欲しいです。ビューティーは、眉毛と髪の毛はMV撮影とかの前日は美容院で整えてもらって、ピシッとした状態で行くようにしてます。 

―今後挑戦してみたいスタイルは?

Slow:夏は T シャツが多かったんですけど、俺らがカッコいいと思うような人たちはシャツとかも着こなしてるんで、自分らも着てみたいです。

Zakeru:結構ラフなのが好きなんで、白Tとジーンズにチェーンとか。チェーンで全部カバーするみたいな、ラフを極めたい。

Slim:今まで全然着てこなかったんですけど、冬に向けてニットとかカーディガンを着こなせるようになりたいです。ダンスビデオとかではパーカーが映えるからパーカーが多かったけど、インスタで見るような人たちはニットとか着ててかっこいいなって思う。

 

―最近はラッパーとしても活動されてますが、ラップをやろうと思ったのは何かきっかけがあったんですか?

Zakeru:曲をやったからってラッパーになるわけではないし、俺たちがいきなり女とか金についてラップし出したらそれは違うと思う。ダンスってやっぱり見てる人を楽しませるものなんで、エンターテイナーとしていろんな側面を見せていきたいと思ってます。海外だと、俺たちが影響されてきたダンサーのAyo & Tyoとか、SheLovesMeechieとか、みんなある程度すると自分たちの曲を出すけど、日本だとそういう人たちはいなくて。参考にできる人がいないから、正直まだ探り探りやってる状態す。そこをどれだけ開拓できるかは自分たちにかかってると思ってます。

―音楽とダンスはつながっているとしても、実際にラップをやるってなったら難しくないですか?ちょっとやってみようかって感じだったんですか?

Zakeru:もともとYouTubeを 始めた時から、いずれは自分たちで曲を作って踊ろうっていうのは決めていて、去年の9月頃にそろそろ本格的にやってみようってスタートしました。でもやっぱりめちゃむずいっす。

Slow:俺らはイベントとかがある時以外は全く遊びに行かないし、女遊びも悪いこともしないから、あんまり書くことがないって意味ではむずいかも。でも逆にそれで俺らっぽい感じが出て面白いのかなとも思うけど。

Zakeru:曲を作る時トピックを決めて、それぞれがリリックとフローを考えて持ってくるんですけど、みんないつも一緒にいるものの、やっぱりちょっとズレがあって。思ってたのとちょっと違ったりして、どう合わせていくかの調整が結構大変。やってみて実感したすね。

 

―周りからはどんな反響を得てますか?

Zakeru:思ったより良かったです。最初YouTubeで曲をやるって言った時は、「お前ら曲なんかやるな」とか「ダサい曲出すんじゃねえぞ」とかってヘイターからめちゃくちゃコメントが来て。まあ想定内ではあったんすけど。でもいざ出してみたらいいコメントの方が多くて安心した。

Slow:急に評論家みたいなやつが増えたよね。曲やった途端そんな感じなんだって。

―でも、3人だからネガティブな反応を乗り越えられるっていうのはあるでしょうね。

Zakeru:そうすね。自分は結構感じる方だけど、みんなにこれどう思う?とかって共有すると、特にSlowとかは「(気にしなくて)いいっしょ」って。そういう声を聞くと、大丈夫かって思う。


―今は新しいEPを制作されている?

Zakeru:そうです、10月と11月にシングルを出して、12月にEPを出す予定です。大体録り終わっていて、あとはスタジオで本録りをする感じで。曲を作るスピードは最初に比べて上がったすね。いい意味で遊び感覚で俺らだけでやってるんで、1日に2曲ぐらいは形になる。そこから細かいとこを修正していく感じです。

 

―これからNinja We Made Itが目指すところは?

Zakeru:さっきも言ったすけど、エンタメで今いるラッパーの方々とは違うアプローチをして、いずれは武道館とか大きいステージに立ちたいと思ってます。短期的にはここでこういうことをしようとかって決めたりしてて、あとは自分たちのスタンスをみんなで話し合ったりして。でもやっぱりやってみないと分からないから、考えてプランを組んで、それに向かって一つ一つやっていく。

 

―直近で成し遂げたい目標は?

Zakeru:MV を100万回したいなって話をしてて。それで3ヶ月続けて曲を出すんですけど、そこは一つの目標すね。

 

―壁は高いですか?

Zakeru:高いすね。今までで95万回くらいが最高なんで。

Slow:1、2年経ってもまだ100万行かないんで、バズるってマジすごいんだなって思う。

Zakeru:とりあえず一番大事にしなきゃいけないのはスピード感すね。昔みたいにバズったらそれでずっと行けるって感じじゃない。もう1日単位で変わるから。どれだけ手数打ってやれるかみたいな。

 


―では、みなさんにとってヒップホップ とは?

Slow:ヒップホップっていう文化を好きになって今の自分があると思ってて、この文化をリスペクトしてるし大好きだし、それに携われてることがめちゃめちゃ嬉しい。これからも自分なりにヒップホップを感じたり、楽しさを伝えていきたいなと思います。とにかく最高!

Slim:ファッションとしても音楽としても、色んな部分で自分にとってのかっこいいを表現できるものなのかなって思います。正解がないからこそ面白いですね。

Zakeru:自分にとってヒップホップは自由。もともとは黒人差別から生まれた文化で、みんなが自由を主張して、それぞれの表現を通して社会に訴えてきた。自分が影響を受けたのってそういうところで、何かをやろうと思った時、考えてそれに対して向かっていけば絶対にできるって思ったんです。日本はアメリカみたいに治安が悪いわけじゃないし、こんなに恵まれた環境に生まれてきて、ここで成功できなかったら全部自分の責任だし、自分の好きなことをやっていくために、やるべきことをやる。ブレない自由を大事にしていきたいです。

 

―自由、いいですね!考えるのは好きな方ですか?

Zakeru:考える時間が一番好きっすね。自分でも気持ち悪いんですけど、なんでこうなったのかなって思うと、やっぱりヒップホップにつながるんすよ。中学、高校の時は何も考えず、好きな曲聴いてみんなと遊んでふざけてるだけだったけど、ヒップホップにハマって色々調べていうちに、ヒップホップの5大要素があることを知って。DJ、MC、グラフィティ、ブレイキンともう一つ「知識」があって、どういう意味だろうって調べたら、生きていく上で知識が大事だと、その中でも経営とか、自分で生きていく術は知っておいた方がいいってあって。そういうことって頭がいい人に言われても入ってこないけど、ヒップホップの自分がカッコいいって思う人たちに言われると、なるほどね!って思えて、そこからビジネス系のことも勉強するようになったんです。

 

―そういうことに気づいたのはいつ頃だったんですか?

Zakeru:Ninja初めてすぐくらい。それまではダンスしかやってなかったけど、YouTubeを始めてバズらせるためにどうずればリーチされるかとかを学んでいく中で、ヒップホップの知識について知って、めっちゃ楽しいじゃんってなって。自分たちは23で若いし、誰も社会人経験をしてないから、わからないことの方が多いんで、とりあえず自分らで考えて調べて、やってみることが大事。そこで失敗しても、続けていれば成功に近づいていくじゃないですか。何もやらないことが一番の失敗だと思ってるから、失敗しても全然オッケーっていう感じですね。こういうこと言うと馬鹿にされるけど、ぶっちゃけこれが本音。

Slim:誰も馬鹿にしてないし。友達としては面白味なくなったと思うけど(笑)。

Slow:確かに真面目になったなっていうのは思う。一発ギャグとかも全くやらなくなって。

Zakeru:それはまた別の話でしょ(笑)。でも、一発ギャグでもなんでも、誰が何をやるかっていう役割分担は大事。みんなそれぞれすごいと思う部分があって、例えばSlimは俺らが変なことを言った時にいい感じで切り返してくれたり、Slowは楽観的に物事を見れたり、Yungは俺ら3人のことを彼の目線で見てくれたり。一人一人ポジションがあると思ってるから、一発ギャグは俺がやんなくていいなって。


―じゃあ誰がやるべき?

Zakeru:一発ギャグはしょうもない話だけど(笑)、クリエイティブ の面で言うと、Slowは映像とか編集が超ヤバいんですよ。ぶっ飛んでるから変な発想を持ってきてくれる。次に出すMV は全部Slowに任せてやってもらいます。

Slow:(数字が)伸びなかったらやめようね。

Zakeru:とにかく役割は最近すごい大事にしてる。あとはとりあえず何でもやってみて失敗することですね。自分たちで考えて選んでやってきたことなら、最悪ガチで失敗したとしても悔いはないんですよ。周りの大人の方々たちが心配していろいろ言ってくださることがあって、めちゃくちゃ嬉しいし、ありがたいし感謝してるんですけど、やっぱり自分たちが考えてやることに意味があると思ってて。ヒップホップで学んだことを活かして生きて、自分達が楽しくできればそれで成功。極論そう思ってます。



Ninja We Made It

2nd Single「福沢諭吉」Out Now