Text & Photo: Atsuko Tanaka
T-STONE in Harajuku & Nakameguro
―今日のオシャレのポイントを教えてください。
自分の地元徳島の、藍染で世界的に有名なブランド「BUAISO」のジャケットとジーンズです。藍の色は「JAPAN BLUE」として知られることでも有名ですが、カニエ・ウェストとかリアーナとかもBUAISOの工場に来て藍染体験をしたりしてるんですよ。自分もラッパーとしてこの藍染めの文化をもっと広げていきたいと思ってて、今日は37度の中これを着てきました(笑)。あとはジュエリー。
ー藍色に、シルバーのジュエリーが生えてますね。シルバーが好きなんですか?
昔から好きです。まずこの歯のリングは、僕の「言U」っていう曲のMVに出演してくれてる、ジュエリーデザイナーのトシさんに作ってもらったもの。元は全部シルバーなんですけど、歯一本だけを金にして、裏に「言いたいコト言U」って刻印を入れてもらいました。ちなみにこれの全18金バージョンは、ビリー・アイリッシュがオーダーしたらしいです。それから、Dをモチーフにしたリングは、いつも髪を切ってもらってるMR.BROTHERSのケンシさんのブランド「DANPACHI」ので、もう一つはTokyo Young Visionがやってるブランド「DeepRiver」と THEUSED日本のシルバーブランドを取り扱ってい店がコラボで作ったもの。
チェーンのブレスレットは、僕が一番リスペクトしてる徳島の「KING or CLOWN」っていうバーのマスターのカズキさんに頂いたものです。実はこれ知恵の輪なんですけどね。もう一つは、THEUSEDのボスからのプレゼントで、「Recoil&Co.(リコイルアンドコー)」っていうブランドのもの。パールのネックレスは知り合いにもらったVINTAGE HOLLYWOODので、シチズンの時計は、ばあちゃんが成人のお祝いに買ってくれたんです。時間は狂ってるんですけど、お守りみたいな感じでいつもつけてます。
―最近好きなファッションスタイルやブランドはありますか?
最近はシンプルなスタイルが好きです。白Tがすごい好きで、オーバーに着るのも、すごいぴちっと着るのも好き。それに青と赤とか、差し色を入れたりして。ブランドはコーチが好きです。今日もベルトとキーケースはコーチ。
―今日撮影した場所は、T-STONEさんにとってどんな思い入れがありますか?まず、MR.BROTHERSは?
間違いなく自分のモチベーションが上がる場所ですね。上京して最初は違うところで切ってもらってたんですけど、自分がコロナになったのをきっかけに、もっとモチベーションが高くなるバーバーに行きたいと思って、前から憧れてたケンシさんにお願いするようになりました。店の雰囲気も、他のバーバーの方もすごいかっこいいし、店に入るとピシッと背筋が伸びる感じがあります。
―ところ変わって、目黒銀座はどんな場所ですか?
中目黒を探索してた時にこの商店街を見つけて、すごいあったかい雰囲気で、めちゃくちゃいいなと思いました。僕は人間観察が好きやから、商店街の入り口から出口まで歩きながら人間観察するんです。いろんな人を見ながら、「晩飯の買い出しに来てんだな」とか、「このカップル、なんかちょっといい感じやん」とか、考えるのが好きですね。
―特に好きでよく行くお店はあります?
僕、世界で一番好きな食べ物がカレーなんですけど、香食楽(かくら)っていうカレー屋さんのベジタリアンカレーが大好きで、しょっちゅう行ってます。自分は小5から1型糖尿病を患ってるんで、食事もなるべく気をつけようと思って、極力肉を食べるのは避けてて。香食楽のベジタリアンカレーは、肉が入ってないけど入ってるくらい美味いです。
―では、ファッションの話に戻って、普段洋服はどこで買うことが多いですか?
徳島のmonde jacomo(モンド・ジャコモ)という店ですね。今でも月に一回か、2ヶ月に1回ぐらいは徳島に帰ってて、その時に景気が良かったら買うようにしてます。どこに金を使うかはすごい大事だと思うし、地元の人たちに今まで色々助けてもらってきたんで、自分の景気が良い時は還元したいっていつも思ってます。
―ファッションスタイルを参考にしている人やサイト、アプリなどはありますか?
インスタが多いです。ちょっと前だと、トラヴィス・スコットはめちゃくちゃモードでヴィンテージな感じで、シルバーのアクセサリーとかつけてるし、影響受けてました。最近はフォーマルな感じのファッションが好きなんで、Da Baby、ケンドリック・ラマーとかですかね。
―世界で一番オシャレな人が多いと思う街は?
パリ。僕はまだ海外に行ったことがないんですけど、とりあえずはLAにめっちゃ行きたくて、その次に行きたいのがパリです。パリコレの話をmonde jacomoのオーナーのカイトさんからよく聞いてて、今をときめくビッグなラッパーたちがお洒落して普通に遊びに来るわけじゃないですか。世界一を目指す人間として、そこは見に行きたいっていうのはありますね。
―T-STONEさんにとってファッションで欠かせないアイテムは?
ファッションは白Tかな。普段は白で、撮影の時とかは色を使ったりとかしたりします。でもここぞっていう勝負の時は全身真っ黒が多いかもしれないです。あとはジュエリーとスニーカーもめっちゃ大事ですね。ちなみに今日履いてるのは、18歳の頃に買ったジョーダン1。靴を磨くのがめっちゃ好きで、Crepっていうシューケアブランドのアイテムを使っていつも磨いてます。もっとビッグになって、ドクター・ドレみたいに毎日エアフォース1をおろせるようになりたいです(笑)。あとは最近買ったデジカメを持ち歩いて、自分のファッションスナップとか撮ってます。
―今後挑戦してみたいスタイルはありますか?
着物と、パリッとしたスーツを着こなしたいです。あとはロカビリーとカウボーイ。近いうち大型のバイクの免許を取りに行こうと思ってるんで、バイクに乗る時はライダースとか着てキメたいですね。
―では、先日ファーストアルバム「Type 1 Diabetes」をリリースされましたが、タイトルに込めた想いを教えてください。
Type 1 Diabetesは1型糖尿病のことで、僕は小5から15年間くらいこの病気と付き合ってるんですけど、1年半前まではずっと隠してたんですよ。注射を打つのもトイレで打ったり、ずっとコンプレックスに感じてました。でもある時、アメリカのBoosie Badazzっていう、僕と同じ疾患を持ってるラッパーが、ストーリーズで他の人が頼んだ料理を目の前に、「この料理食いたいけど、俺は注射がないから食えない。だからお前ら注射持ってきてくれ」みたいなことをあげてるのを見て、すごい勇気をもらって。俺もラッパーを生業とする中で、全然隠すことじゃないし、もっとポジティブに受け止めようと思って、アルバムのタイトルを「Type 1 Diabetes」にしました。
―このアルバムの中で特に思い入れの深い曲はありますか?
もちろん全部ですけど、中でも「DonDaDa」は自分にとって印象深い曲です。僕がヒップホップを初めて聴いたのは小学4年生の時、親父が聴かせてくれたZEEBRAさんの「結婚と理想の現実」っていう曲でした。そこからヒップホップにハマって、その後親父は僕が中学生の時に亡くなっちゃったんですけど、Zeebraさん といつか曲をやりたいという夢を今回こうして叶えることができたんで、親父も天国で誇りに思ってくれてると思います。
あと「騒 ~ZOMEKI」ですね。今の事務所の社長が 徳島出身で CO-KEYというMCネーム でラッパーをしていて、約20年前に阿波踊りとヒップホップを融合させた楽曲 "阿波バウンス" をリリースして話題になったので、今回同郷同士でこのアルバムを作っていく中で、もう一度今の時代で阿波踊りとヒップホップを融合させた楽曲を作ろうとなり制作しました。寶船(たからぶね)っていう阿波踊りのプロ集団をフィーチャリングして、生音を叩いてもらったり、掛け声を入れてもらったりしました。今までにない、パーティーな感じに仕上がったと思います。
―素晴らしいですね!日本の文化が曲を通して世界に広まっていってほしいです。では最後に、T-STONEさんにとってヒップホップ とは?
僕の人生すね。これからもヒップホップ から逸れずにやっていきたいと思います。
取材協力:
MR.BROTHERS CUT CLUB原宿本店
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