ABCD STORES
開店: 2019年10月25日
業種: コンビニ
地区: 岐阜県大垣市
オーナーのモットー: ABCDon’t fuck around
Text & Photo: Atsuko Tanaka
岐阜県大垣市の、とある大通りに突如現れるABCD STORES。ガソリンスタンド?と思い、店の扉を開けると、そこはまさにアメリカ。圧巻の商品がずらりと並ぶ。オーナーは安福夫妻。夫の洋二は大垣で生まれ育ち、映画「ジャッジメントナイト」のサントラをきっかけにヒップホップにハマっていった。大学卒業後は地元の商社に勤めながら、元々バイクいじりが好きだった延長で家具作りをするように。評判を呼び、次第に仲間などにも作り始め、2008年「FEDUP STORE」という屋号をつけ本腰を入れた。妻・晴美との出会いも、彼が作った家具だった。彼女が好きなバーガーショップに置いてあった什器を気に入り、当時住んでいた東京から洋二に会いに大垣を訪れる。二人はすぐに意気投合し、結婚。そこからはジェットコースターのようだったと言う。
―お二人の出会いを聞いてびっくりしました。お互いすぐにビビッと来たんですね。
二人とも大人だし、東京と岐阜を行き来するのも大変なので、会って2回目で結婚を決めました。その時僕はまだ会社員をしながら家具とか作ってたんですけど、新婚旅行で初めてハワイに行ったらハマって、頻繁に行くようになって。そのうち働くのがばかばかしく思えてきて、好きなことだけでやっていきたいと思って会社を辞めました。それで仕事で海外に行けるようにするには何ができるかを考えて。
―それでお店をやろうと。店のコンセプトは?
アメリカの田舎道に現れる、ガソリンスタンド(サイドストア)。最初は雑貨を扱う店を考えていたんですけど、マウイ島の知り合いに連れて行ってもらったガソリンスタンドの雰囲気に惹かれて。あっちには日系の人が昔からやってるかっこいいガソリンスタンドがたくさんあるんですよ。
―店をやろうと決めて、実際にどんなふうに動き出したんですか?
まず店舗を探すところから始めました。でも、この辺は田舎なのに家賃が意外と高かったり、ガソリンスタンドも聞いてみたけど貸してくれる所がなくて。そんなことをしているうちに2年くらい経ってしまったんで、元々住んでいた土地に一から建てることにしました。
―店に入って、まず圧巻のセレクションにびっくりしました。商品揃えるの、大変だったんじゃないですか?
最初の頃は自分たちがハワイで買い付けた物を売ってたんですけど、ハワイっぽいものだけだと何か可愛くて違うねってなって、日用品を揃えるようになりました。ちなみに店をオープンした翌年にコロナが来て買い付けに行けなくなって、それからはネットで見つけた商品をLAに住んでいる友人に仕入れてもらってます。行かなくても大丈夫なルートが開拓できたんで、結果良かったです。
―店自慢のアイテムはなんですか?
まさに、このLAから直接仕入れている現代の日用品です。私たちは、買うか買わないかギリギリのラインにある物が好きで。例えばパッケージが可愛いスポンジのセットとか、釘とか、「これ何に使うの?」みたいな物(笑)。質は日本の方が良かったりするけど、こっちの方がかっこいいから。なので、わからない人からしたら全然意味がわからないと思います。
―確かにわかる人が見ればわかる物ばかりですね。でも、実際に釘とかって売れるんですか?
時々売れるんですよ。3年売れなくて残っていたかと思いきや、いきなり同じ日に違う3人の方が買うこともあったりして。洗剤とかも、知っている人はもちろん、知らない人でもチャレンジしてみたら洗浄力が強いって気に入ってリピート買いしたり。
―特に売れ筋は?
満遍なく色々出る感じですけど、ボディソープとか、デオドラント、シャンプーとかかな。海外に行った時に使ったとかで懐かしがって買う人が多いです。
―ホットドッグマシーンが置いてあるのもアメリカっぽいですね。
これは料理器具を扱ってるネットショップで見つけたんです。結構ディグりましたね。うちはお客さんが頻繁に来るわけではないので、よくあるコロコロ系のマシーンだと、パンもソーセージもパリパリになっちゃうから蒸気のタイプがいいかなと思って。
―では、今までに店で起きた出来事で、一番印象的な出来事はなんでしょう?
特にこれというのはないですが、「〇〇県から来ました!」とか、「ずっと来てみたくてやっと来れました!」とか、嬉しそうな表情で、北海道から沖縄まで全国各地からお客様が来てくれるのは嬉しいです。特に週末は地元より他県からの方が多くて、みなさんドライブがてら寄ってくれます。
―お客さんは、お店のことはSNSで知って来るんですか?
そうですね。岐阜の人ってあまり自分から発信しないんですよ。私(晴美)がこっちに引っ越して来たばかりの頃は、もっと宣伝すればいいのにって思ったこともあったけど、別に必要と思わないみたいで。でも届いて欲しい人に届いていることがわかると、やってることは間違ってなかったと思えます。
―では、FEDUP STOREについて洋二さんにお聞きしたいです。家具作りはいつ頃から、どうやって学んだんですか?
僕は29歳くらいからバイクをいじるようになったんですけど、その時に溶接を覚えて、遊びで自分で使う物を作るところから始まりました。家具を作り出したのは35歳くらい。そのうち周りの方に作って欲しいと頼まれるようになって、今に至る感じです。
―唯一無二なかっこいい家具ばかりですが、アイデアはどのように浮かぶんですか?
説明が難しいですが、使い古した感じのテイストのを作ってて。「伝説の素人」って言われてます(笑)。
―(笑)。使う素材は金属のみ?こだわりのポイントはありますか?
素材はほぼ鉄です。最初の頃は木を使っていたこともありましたけど。「M&M」っていうインテリアのデザインや内装を手がけたりするブランドが木を使って家具を作っていて、そこに影響されて家具作りをやってみようと思ったので。でもやっぱり絶対敵わないって思って、自分は鉄でやろうと思いました。こだわりのポイントは、削り具合とか汚し具合ですかね、いい塩梅というか。あとはマイナスのネジを使ってたりするところ。今は大体プラスのネジが使われているけど、昔はバイクも車も家具もみんなマイナスのネジだったんですよ、絶対そっちの方が可愛い。
―なるほど、確かにコーヒー豆みたいで可愛いですね。それでは、店付近のエリアについて教えてください。
東京・大阪から2時間、名古屋から30分と、日本のど真ん中にあり、昔からローライダーやチョッパーなどのモーターカルチャーが盛んな場所です。田舎であまりやることがないんで、大体みんな車に注ぎ込むんですよね。僕も昔はそうだったけど、今はこの車。ちなみにOGKは大垣のこと。八王子の方に描いてもらいました。
―めちゃかっこいいです!最後に、今度初めてこの店を訪ねてみようと思っているお客さんにメッセージをお願いします。
現在USフルサイズのフードトラックを準備中です。知り合いから買ったトラックなんですけど、自分たちで修理して来年の夏くらいまでにオープンする予定。内容は週替わりでタコス、ハンバーガー、ホットドッグとか、お好み焼きや焼きそばとかをやってもいいかなと思ってます。楽しみにしててください。
ABCD STORES
Address: 岐阜県大垣市林町1丁目43
Phone: 058-440-1232
営業時間: 11:00-19:00
Website: https://abcdstores.theshop.jp/
Instagram: :@abcd_stores