BLITZ

開店: 2017/7/29

業種: カフェ

地区: 岐阜県岐阜市

オーナーのモットー: 70%の人に理解され、30%の人に疑問に思われる人間でありたい

オーナーの長屋(左)と、チーフマネージャー兼シェフのBake(右)

Text & Photo: Atsuko Tanaka

ペパーミントグリーンのドアとガラス窓に描かれた絵が目を引くカフェ、BLITZ(ブリッツ)。オーナーの長屋は、中2の時に同級生の兄の影響でインディーズパンクにハマり、そこから音楽、ファッションに興味を持ち始めた。中学卒業後は設計図の印刷屋に勤めるも1年で辞め、プー太郎メインのフリーター生活をしばしの間送る。その後、当時岐阜では珍しかったヴィンテージの古着屋で働き、2店舗目の店長を3年ほど務めた。やがて建築関係の職人として板金会社で3年勤めたのち、ある出会いを通してアメリカに頻繁に行くことになる。その時の経験が今の仕事につながっていると言う。

―アメリカに行ったのは何がきっかけだったんですか?

知り合いにアメリカで車やヴィンテージのルアーの仕入れをしている人がいて、僕が釣り好きだったことから一緒にアメリカに行くようになったんです。4年くらい、毎月いろんな州に行ってました。その後、自分の実家の塗装屋を手伝っているうちに、アメリカっぽいデザインを仕事に取り入れたいと思うようになって、店舗のデザインと施工を請け負う会社・Life Co(ライフ コ)を2000年に創業しました。それで、「こういうお店を作れますよ」ってモデルショップとして見せられる店が必要ってことで、BLITZを作ったんです。

 

―カフェをやろうと思って始めたわけではないんですね。

はい、禁句ですがめちゃめちゃコーヒーが好きとかいうわけでもなく(笑)。東京の方に仕事でよく行ってるんですけど、湘南乃風の若旦那の自宅をリノベーションしている時、代々木公園の近くに良い感じのコーヒースタンドがあって休憩してたんです。その時にこういう店が岐阜にもあったらいいなと思いました。それで物件を探していたら、ここがたまたま空いてて。昔働いてたヴィンテージのお店だった所なんですよ。偶然ですね。大家さんも僕のことを覚えてくれてました。

―それはご縁を感じますね。店のコンセプトはなんですか?

特別なこだわりを持ったコーヒーを提供してますが、ライフスタイルの一コマで使ってもらえるようなお店です。

―インスタを拝見していると、おしゃれなお客さんがとても多いですね。みんな地元の方なんですか?

地元の子も多いですけど、他県からも来てるみたいです。客層は前と変わりましたね。最初はスケーターの子が多かったけど、今はおしゃれな若者が多い。

 

―店人気のメニューはなんですか?

カフェラテとサンドウィッチやパイなど。毎日店で焼いて作ってます。サンドイッチは始めたばかりですけど、フィッシュサンドとスパイスチキンサンドが人気。パイはアップルパイが人気ですね。

―メニューは誰が考えるんですか?

「こういうのやろうよ」とかって自分が提案して、スタッフが具現化してくれます。僕が食べるのが好きなのと、出張で他県に行くことが多いんで、そういうところでヒントをもらったりします。面白そうな人が働いてる店に行くことが多いです。

 

―ところでBLITZのロゴは魚のデザインですが、あのアイデアはどこから?

釣りと魚の形が好きなんで。ギャップを狙うわけじゃないけど、コーヒーと魚を合わせたら気持ち悪くていいかなって(笑)。

 

―あと、壁の緑色、とても素敵ですね。窓の絵も印象的ですが、どなたが描いてるんですか?

絵はいつもMaskita Labaというアーティストに描いてもらっていて、大体3ヶ月くらいの周期で変えてます。壁の色は、オープンして数年は黒皮鉄剥き出しだったんですけど、2年半くらい前に今の色に変えて。あれは中国を意識してあの緑なんです。中国ってああいう色っぽいイメージだから。

 

―中国ですか!それは意外でした。

当時コロナが流行ってた頃で、中国からウイルスが来たって中国のことを嫌な目で見ていた人が多かったじゃないですか。それを逆手にとって、敢えて中国みたいにしてやれと思って(笑)。窓にいっぱい漢字を描いてもらいました。たまにそういう皮肉ったことをやりたくなるんです。

―そうだったんですね!では、店付近のエリアについて教えてください。

ほど良い人の通りと、ほど良い車の通りで最高な場所です。僕が若い頃はあんまりいい場所じゃなかったんですけどね。ヤクザの事務所があったり、西に1本行ったところには客引きが並んでいたり、変な人が多かった。10年くらい前からおしゃれスポットになってきて、今はカフェとか焼き菓子屋、おしゃれな居酒屋さんとか、色々あります。

 

―今までに店で起きたことで一番印象的な出来事はなんでしょう?

自分が店にいることがなかなかないので、印象的な出来事というのはあまりないんですけど、嬉しかったのは、椅子のないコーヒースタンドでもみんなが反応してくれたこと。岐阜って名古屋と一緒で喫茶店文化があるから、コーヒーを飲む時は絶対に座れないとダメなんですよ。だから反応薄いと思ってたら意外と良かった。あとは2019年に岐阜市から景観奨励賞をもらったことですね。人生で賞というものはもらったことがないのでちょっと嬉しかったです。

―元々モデルショップとして作ったわけですが、店舗を作って欲しいという依頼も結構あるんですか?

最初の頃は見積もりだけで受注まではなかったですけど、最近増えてきましたね。やっとLife COという会社の存在を地元の人たちに認知してもらえてきたのは感じます。実際は他県での仕事の方が多いですけど、最近だと兵庫のカフェとか、今度岐阜の床屋さんもやらせてもらえそうです。それとLife COとは別に、Slog(スロッグ)という名前で、横浜、東京、大阪、岐阜に住む4人の仲間と一緒に内装チームをやっていて、そこでもいろんな所を手がけました。例えば中目のHuman Made(ヒューマンメイド)とか、渋谷、湘南、長島のVolcome(ボルコム)、他にもBLUCO(ブルコ)やBALISTICS(バリスティックス)のオフィス店舗を作ったり、若旦那のスタジオやオフィス、自宅等色々やってます。

―では、2店舗目として2021年の5月にオープンされたインド料理屋「COCKNEYCOOKS.BLITZ.(コックニークックス.ブリッツ)」について教えてください。そもそも、なぜインド料理屋を始めようと思ったんですか?

もともとインドには全く興味がなかったんですけど、知り合いの人がインド料理にすごくハマっていて、なんとなく気にしていたら自分もハマっちゃって。それまでインド料理と言えばナンとカレーみたいなイメージだったのが、そういうものじゃない料理も知って、そこから自分で作り出して、気づいたら4年くらい経ってて。結構ハマるとどっぷり行くタイプで、いろんなところに食べに行ってるうちに、インドにも行くようになって、そろそろ店出してもいいんじゃないかと思って出しました。でもタイミングがちょっと間違ったみたいで、まだあまり気づいてもらえない感じはあります。

 

―人気のメニューとこだわりのポイントは?

オープン当初から出しているケララチキンカレーと、クックスチキンカレーです。ケララチキンカレーは荒削りのココナッツが効いていて、クックスチキンカレーは、うちのチーフマネジャー兼シェフのBakeがオリジナルのミックススパイスパウダーを作ろうって提案してくれて、いい感じに仕上がったんで、これ1本で作れるカレーを考えようってことで作りました。あとはビリヤニも人気です。ビリヤニって結構手間がかかる割には利益にならないので、工程をはしょって作るお店が多い中、うちはきちっと忠実に作ってるつもりです。インド料理マニアみたいなお客さんは結構喜んでくれます。

―最後に、今度初めて店を訪ねてみようと思っているお客さんにメッセージをお願いします。

個性あるスタッフがお待ちしております。例えば、Iggy Pop(イギー・ポップ)を聴きながら五目並べをするのが好きな子とか、僕が会社のブログに上げていたNWAのMVを観て、それに共感して面接を受けに来てくれた子とか…(笑)。僕がこんな感じなんで、いい感じにバランスが取れてると思います。あとは、ほど良く昭和が残るいい場所なのでぜひ遊びに来てください。

BLITZ

Address: 岐阜県岐阜市二番町6

Phone: 058-201-2742

営業時間: 11:00~20:00

Website: https://www.blitz-coffee.jp/

Instagram: :@blitzcoffee.2017