HOME GAME TOKYO

開店: 2023/1/27

業種: 帽子屋

地区: 東京原宿

オーナーのモットー: 失敗を恐れず常に新しいことに挑戦する

Text & Photo: Atsuko Tanaka

ファッションの街・原宿のとんちゃん通りに、今年1月にオープンした帽子専門店「HOME GAME TOKYO」。オーナーは、今年創業20周年を迎えたアパレルブランド「Lafayette(ラファイエット)」の創設者でもあるJUN。

神奈川県藤沢市で育った彼がヒップホップに出会ったのは、中学3年生の時、友達から借りたテープのBeastie Boys(ビースティ・ボーイズ )を聴いた時だった。軽い衝撃を食らい、だんだんとカルチャーにハマっていく。また、ファッションにおいては、高校生の時に古着や裏原ブランドに魅了され、地元のアパレルショップで働きながらいつしか自分の店を持ちたいと思うようになった。そして24歳の時(2003年)、地元藤沢に「Lafayette(ラファイエット)」第1号店をオープン。その後は徐々に事業を拡大し、これまで国内に7店舗、アメリカのニューヨークに1店舗を開くまでに。そこでJUNに、店をオープンしたいきさつや、経営を続ける中で大変だったこと、ビジネスの秘訣などを聞いた。

 

―まずは、この店をオープンしたきっかけについて教えてください。

Lafayetteでは昔からずっとNEW ERAを扱って、別注モデルも出し続けてたりしたんですけど、ここ 1、2年は別注を出すたびに店に100人くらいの行列ができたり、抽選に1000人来るような勢いだったんです。アメリカでNEW ERAの人気が再燃した影響ですね。でもLafayetteは帽子専門店にはできないんで、やるならニューヨークのハーレムとかクイーンズにあるようなスタイルでやりたいと思って、昨年思い立って着手しました。

 

―NEW ERAの人気が再燃したのには、何かきっかけがあったんですか?

多分みんなスニーカーにちょっと飽きてきて、もっと手軽に買える何かを探してたのかな。でも、アメリカはもともと野球帽の人気がすごいし、かぶる人数がめちゃ多いですよね。日本も、今はみんなNEW ERAじゃなくてもキャップとか普通にかぶってますね。

 

―この店のコンセプトは?

アメリカの帽子屋のようなカウンタースタイルで、バーバーショップのようなコミュニティスペース。ラッパーのMVで仲間がたむろってるシーンって、だいたいは床屋とか帽子屋、スニーカーショップとかが多いじゃないですか。原宿は忙しい街なんでそんなにゆっくりはできないですけど、日常でもみんなが気軽に寄ってくれるような場所を作りたかった。あと、カウンタースタイルにすることで、「あの帽子取ってください」とかって店員と客が話してコミュニケーションが生まれたりするので、そういうのはいいなと思って。

ーアメリカの店で影響を受けた店や、具体的に参考にした店などはありますか?

ニュージャージーにある「ECAPCITY」と、ノーホーの「Hat Club」、ハーレム の「Caps & Clothing USA」 、ブロンクスの「4U Caps」、クイーンズの 「Exclusive Fittied」ですかね。これらの店はNEW ERAと契約して別注モデルを作る権利を持ってるんです。日本でそれができる店は限られていてあまりないんですよね。ちなみにNEW ERA JAPANができたのは2006年なんですけど、うちは契約したのが早かったみたいです。 

 

ーそうだったんですね。

2003年にLafayetteをオープンした時はまだ日本にNEW ERA JAPANがなかったんで、アメリカで毎回500個 とか買って並行輸入してたんです。そうしたらある日、たまたまNEW ERA JAPANの人が店に寄ってくれて、取り扱ってる数に驚いて、今度はうちから買ってくださいって言ってくれて、そこからの仲で。それで毎年LafayetteでNEW ERAの別注を出すようになって、17年続けたから“Lafayette=NEW ERA”みたいなイメージは多少できたと思います。ちなみにNEW ERA は2005年から3年くらいはすごい流行って専門店もいっぱいできたんですけど、その後はしばらく下火でしたね。今はスニーカーが下火ですけど。やっぱり、その時の流れを読んで早くやるかが大事なんじゃないかなと思います。

 

―確かに。では、店自慢のアイテムについて教えてください。

やっぱり別注モデルですかね。デザインとか色とかうちで選んで作ったもので、ここでしか買えないんで一番おすすめです。あとはこの圧巻のディスプレイ。アメリカの帽子屋って天井までぎっしり帽子が飾られてたりするじゃないですか、あれをそのまま持ってきたかった。



―では、Lafayetteも含め今までに店で起きた事で一番印象的な出来事はなんでしょう?

苦労してやっと2017年にニューヨークにお店を出したら、1年ちょっとで大家に追い出されたこと。僕は日本と行ったり来たりでずっと向こうにいたわけじゃないんですけど、スタッフが地元の人と店のバックヤードで毎回パーティーをしてたみたいで、ギャングがディールしてると思われたみたいで(笑)。ある日急に大家に出てけって、裁判を起こすとか言われたりして、どうしようって本当に大変でした。最後出る前は、 “FUCK MAURICE”って大家の名前を書いたTシャツを作って売りました。移転費用くらいは稼げるかなと思ったけど全然ダメでしたね(笑)。

 

―NYらしい(笑)。それにしても色々と大変でしたね。その後はどうしたんですか?

次の場所を見つけて半年ぐらいで再オープンできたんですけど、今度はコロナが起きて半年くらい店を閉めなきゃいけなくなって。店のショーウィンドウが壊されるからバリケードみたいなのを作ったりとかして、これまた大変でした。でもそれからも、外出制限が明けて一瞬は良かったですけど、リテールはなかなか厳しいですよ。日本も同じだけど、今はみんな飽きが早いから、 毎週店でイベントしたりポップアップをやったりしないと難しい。そうやって自分たちが持ってないコミュニティーを連れてきてもらわないとですね。

―どの業界も今までどおりには行かず大変ですね。これまでいくつものお店を経営してきて、店づくりに大切なことや、長く続く秘訣はなんだと思いますか?

うちは最初にドーンと行かなくて、ゆっくりなペースで来てたんで、それが長くやれる秘訣になったのかなとは思います。 でも、一緒にやってきたスタッフが高年齢化してきてるので、今後はスピード感持ってやっていかないと続けられないかなっていう危機感はありますね。3人とか5人とか小規模の会社ならゆっくりでもいいけど、今社員が3、40人ぐらいいるし、お店もある以上どんどん動いていかないと。

 

―ビジネスを大きく展開していく上で、しんどかった時期はありましたか?それはどのようにして乗り越えましたか?

ピンチは3ヶ月おきぐらいに来てたんで、慣れてくるというか、超えるとあんまり大したことじゃなくなってくるから、秘訣はやめない、諦めないことじゃないですかね。命取られるわけじゃないし。(ジュエリーとか)ジャラジャラつけてたら違うこと言ってるかもしれないですけど(笑)。

 

―若い子にアドバイスを求められたりすることもありますか?

あるすね、今地元の高校でそういう話をすることもあります。日本ってどうしてもお金を稼ぐことを悪としちゃうところがあるじゃないですか。僕も若い頃はかっこいいことを優先したり、譲れない部分を持って、あんまり稼ぐことに重きを置いてなかった時もありました。でもやっぱり、早い段階でお金を稼ぐ重要さを知るのは大事だと思うんですね。日本も、中学、高校生ぐらいから大金稼いでますっていうような若い人が出てくるといいなって思ってます。

―確かに日本はそういうところがありますね。お金を稼いでいい暮らしをすることを隠さないといけなかったり、夢を持たせてもらえないというか。

海外は全く桁が違いますね。僕も中国にも店を持とうと何度も挑戦したけど、やっぱりなかなか難しいんだって痛感しました。でも展開したことで友達がいっぱいできたし、やってみて本当に良かったと思います。

―同じような業界でビジネスをやっている方で、尊敬する人はいますか?

いっぱいいます。例えばニュージャージーの「E City Cap」のオーナーとか。彼らは3人でやってるんですけど、月数千万稼いでて。店は開けると行列ができちゃうから販売はオンラインのみでやってますね。あと、業界は違っても自分にないビジネスセンスを持ってる人とか、ものすごく地道に仕事に向き合ってる人も尊敬します。ニューヨークで「一番亭」っていう定食屋をやってる知り合いが、今イーストビレッジの辺りにクラブを作っていて、かなり勝負してるんです。そういう勢いのあるビジネスのやり方とか、会社を売買することとかも、まだ知らない世界ですけど面白いなと思います。

 

―今後の展開が楽しみです!では、店付近のエリアについて教えてください。

ファッションの中心で、中でもとんちゃん通りは例えば日本一の古着屋「ベルベルジン」などの専門店が多い場所です。うちも帽子専門店なんでぴったりかなって思ってます。ちょうどここ2、3ヶ月でインバウンドが戻ってきてるので、今のところ調子はいいですね。

 

―最後に、今度初めて店を訪ねてみようと思っているお客さんにメッセージをお願いします。

日本ではなかなか見ることのない品揃えと、うちにしか扱いのない別注商品をお楽しみください。あと、5月12日に横浜ビブレに「HOMEGAME YOKOHAMA」をオープンします。近郊の方は是非!また、全国でポップアップを企画中なので、そちらもチェックしてください。


HOME GAME TOKYO

Address: 東京都渋谷区神宮前3丁目20-21 ベルウッド原宿 1FA号

Phone: 080-5951-7562

営業時間: 11:00∼20:00

Website: https://homegame-tokyo.com

Instagram: :@homegame_tokyo